コラム : 2016年6月

空き家の譲渡所得の3000万円特別控除について

平成28年度税制改正において「空き家の譲渡所得について3000万円を特別控除する特例措置」が新たに創設されました。

〇制度の概要

相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人(亡くなった方)の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、その建物(耐震性のない場合は耐震リフォームをした建物に限り、その敷地を含む。)または取り壊した後の土地を譲渡した場合には、当該家屋または土地の譲渡所得から3000万円を特別控除する制度です。

〇適用を受けるにあたってのポイント

◆「相続発生日を起算点とした適用期間要件」

相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ特例の適用期間である平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡することが必要です。

◆「相続した家屋の要件」                                         ①相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた建物であること。

②相続の開始の直前において当該被相続人以外に居住をしていたものがいなかった建物であること。

③昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物を除く。)であること。

④相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

※相続した家屋を取り壊して土地のみを譲渡する場合には、取り壊した家屋について相続の時から当該建物取り壊しの時まで事業の用又は居住の用に供されていたことがないこと、かつ、土地について相続の時から当該譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

◆「譲渡する際の要件」

①譲渡価額が1億円以下。                                        ②家屋を譲渡する場合(その敷地の用に供されている土地等も併せて譲渡する場合も含む。)、当該譲渡時において、当該家屋が現行の耐震基準に適合するものであること。

〇他の税制との適用関係

◆本特例は、自己居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除または自己居住用財産の買換え等に係る特例措置のいずれかとの併用が可能です。

◆本特例は、相続財産譲渡時の取得費加算特例と選択特例になります。

 

なお、本特例の適用を受けるにあたっては、適用対象となる家屋や譲渡の要件を満たし、申請者は必要書類を税務署に提出する必要があります。 

 

上記内容は、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会のホームページで提供されている法令改正情報の内容を基礎にして、一部抜粋して作成をしました。 K

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代表取締役 杢谷 光弘

2016年6月18日


中古住宅の取引にインスペクションの活用が増える?

中古住宅流通を活性化するために、建物状況調査(インスペクション)の活用を促す宅地建物取引業法の改正案が5月27日に可決成立しました。

内容は、不動産業者が売買の仲介時に、売り主や買い主に住宅診断を行うかどうか意向の確認を義務付けるということです。
①「媒介契約の締結時に、インスペクション(建物診断・検査)事業者の斡旋(あっせん)に関する事項を記載した書面を依頼者に交付すること」
②「買主などに対して、インスペクション結果の概要などを重要事項として説明すること」
③「売買などの契約の成立時に、建物の状況について当事者(売主・買主など)双方が確認した事項を記載した書面を交付すること」
の3点が義務付けとなりました。

インスペクションの実施自体が義務づけられるわけではありませんが、インスペクションを知らない消費者が多いことから認知の機会を設けることが重要視され、診断の普及を通じ、中古住宅の質に対する消費者の不安を取り除くのが狙いです。

宅建業者があっ旋するインスペクションは、一定の講習を修了した建築士が実施することになっていますので、今後、あっ旋する建築士も決めていくことになるのでしょう。
同法案ではこのほか、事業者団体に対して従業者への体系的な研修を実施する努力義務を課すことも盛り込まれています。宅建業者も専門職であることを強く意識しなくてはなりません。

なお、施行はインスペクション関連が公布から2年以内、その他が公布から1年以内とされています。    tam

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2016年6月2日